2013年、「空腹でスーパーへ行くと、高カロリー食品を多く選ぶ」と報告した研究が発表されました。分かりやすい結論だったため、新聞や健康記事でも広く紹介されました。ところが2018年、研究結果の基になったデータを確認できないとして、論文は撤回されました。
元の研究に起きたこと
原データを確認できず、論文は撤回された。
その後に行われた別の調査
全体では差がなくても、商品と年代を分けると違いが見えた。
2026年の調査は、323人の買い物客と3,819点の商品を対象に、空腹感と実際のレシートを照らし合わせました。買い物全体では、空腹と予定外購入に明確な関係は見つかりませんでした。
ただし、菓子・スナックに限ると空腹との関連があり、若い買い物客でも関連が見られました。さらに、買う物を決めず店内を見て回った人は、日常の買い物に来た人より予定外購入のオッズが約8.6倍でした。これは「8.6倍多く買った」という意味ではありません。
つまり、新しい研究も「空腹は無関係」と一言でまとめられません。何を買ったか、何歳か、何のために店へ来たかで結果が変わっています。
現時点で言えること
「空腹で買い物するな」を、全員に通用する法則とは扱えない。
論文の撤回で確定したのは、2013年の研究結果を信頼できる証拠として扱えないことです。2026年の調査は別の方法で新しい材料を加えましたが、観察研究なので、店へ来た目的が予定外購入の原因だとまでは証明していません。
実生活では、空腹を恐れるより先に、買う物を決めているかを確認する方が使いやすいでしょう。特に菓子やスナックを予定外に買いやすい人は、自分が空腹だったかも一緒に振り返れます。研究から言える範囲を守りつつ、試せる工夫へ落とすならこの程度です。
食の情報を見分ける4つの確認
生活ルールにする前に、研究の中身を四つだけ見る。
出典:元の論文や公的資料へたどれるか。対象:誰を何人調べたか。結果:購入量、商品数、予定外購入など、実際に何を測ったか。更新:訂正や撤回、その後の研究がないか。
この四つを確認すると、「高カロリー食品を多く買う」と「予定外の商品を買う」のような、似ているようで違う結果を混同しにくくなります。
次に「〇〇すると太る」という見出しを見かけたら、まず確かめたいのは賛成か反対かではありません。その研究が、誰の、何を測ったのかです。
MorselFlowの記事について
数字の近くに出典を置き、分からない範囲も書きます。
MorselFlowの記事では、研究の数字だけを切り出さず、対象者、調査方法、測った結果をできるだけ本文に残します。
食事写真の判定にも誤差があります。アプリが示す料理名や量は保存前に確認でき、違うところは自分で修正できます。
本記事は研究の更新過程を一般向けに紹介するもので、買い物・医療・栄養に関する個別の助言ではありません。