MorselFlow

味覚は舌だけで決まらない

周りの音で、同じ味が変わる?

成人48人が、甘味・塩味・酸味・苦味・うま味を表す液体を、静かな条件と航空機内を模した大きな音の中で評価しました。

同じ参加者が音の有無を両方経験し、各基本味について濃度の異なる液体を口にしました。研究者が測ったのは料理のおいしさや摂取量ではなく、参加者が感じた「味の強さ」です。

大きな音の中では甘味が弱く、うま味が強く評価されました。

成人48人のクロスオーバー実験です。味の濃度が高くなるほど、騒音による甘味の低下とうま味の増加が大きくなりました。論文要旨は各味の差を共通の百分率では示していません。出典:Journal of Experimental Psychology(2015)

騒音はすべての味を一様に鈍らせたわけではありません。

塩味、酸味、苦味の強さには、静かな条件との明確な差がありませんでした。さらに参加者は、音の中でも触覚・視覚・聴覚の評価課題や反応時間課題を同程度にこなしました。単に集中できなくなっただけでは説明しにくい結果です。

この実験から、騒がしい店では必ず甘い物を多く選ぶとは言えません。

参加者が味わったのは、基本味を分離した液体です。香り、温度、食感が組み合わさる実際の料理では、感じ方が異なる可能性があります。研究は味の強さを測っており、注文内容や食べた量は測っていません。

同じ飲み物や料理を、テレビの音がある時と静かな時に味わい、甘味とうま味の印象だけ比べます。

写真が同じでも、食べた場所の音は違うかもしれません。

食事写真だけでは、静かな自宅だったか、にぎやかな店だったかは分からないことがあります。味の印象が違った日は、場所を一言添えると背景を思い出せます。

見た目だけで食事の体験を説明し切らないための小さな手がかりです。

本記事は味覚研究を一般向けに紹介するもので、診断・治療・個別の栄養指導ではありません。大きな音への長時間の曝露は避け、聴覚の安全を優先してください。